大学での学生による情報システム構築プロジェクト

最近、とある教授の部屋に出入りして院生の人と話をしているのですが、学生自身で学生支援システムを構築するのは、面白いんじゃないかという話をしています。


本来、情報システムはユーザ(利用者)主体のデザイン(ユーザコンピューティング)でなければいけません。


このように業務(処理・計算)の対象の特性や運用方法について考え、仕様書(設計書)を書くわけです。


本当はもっと細かく説明できるんですが、あまり専門的になりすぎるのも分からなくなってしまうので、わかりやすく書きます。


なんでそんな話が出てきたのかというと、現在の大学の学生支援システムに大きな問題があるからです。


私の大学には、学生の成績や授業、その他の目的で利用するためにICタグを学生証に埋め込み、カードリーダで出席を取ったりするシステムが運用されています。


そのシステムが非常に問題です。


開発者本位で開発されたため、まず学生にとっては利用しにくい。


さらに、コアの部分のシステムが安定していないのに後から後からどんどん機能を追加してしまったため、バグが山積してしまい、収拾がつかない状態です。


もはや情報システムとは呼べません。とてもじゃありませんが、学生からの学費を何千万も使い投資した価値があるとは言いがたい物です。


月に何度も停止し、その度にシステムを完全に止めて不定期にメンテナンス。


MTBF(平均故障間隔)が極めて短く、バグが頻発しているためMTTR(平均修理時間)が長い、よって稼働率も低い・・・というような状況です。


使いたいときに使えない、自宅でも使いたいのに無駄に制限がかかっている。


院生のサイトはログインこそできるものの、時間割も成績表も出てこない・・・。


明らかにバグがあります。


作りこみが甘いということが、少しシステム開発に詳しい学生なら誰でもわかります。


問題点を列挙すると・・・。
1、導入に際しての是非について学生のアンケートを取っていない。
2、仕様決定・設計段階において、ユーザであるはずの学生を開発メンバーに入れていない。開発者本位の開発である。
3、ICタグはまだ実験・導入段階であり、まだまだ検討の必要がある。
4、運用テスト(通常業務テスト、負荷テスト等)をロクに行わないで、いきなりの導入。
5、システムの稼働に関わるコアの部分のバグによる正課時間でのシステム停止。
6、無駄な機能追加によるバグの膨張。
7、データベースの効率が悪いため、応答時間が極めて長い。処理が重い。
8、大学院生のデータがバグにより一切表示されない。
9、機能追加に伴うレグレッションテストの不足。
10、信頼性の低下による教員・学生両者の利用率低下。
11、頻繁なバグ修正、メンテナンスのためのコストが莫大。

挙げたらかなりの数が出てきます。


ならば、学生プロジェクトを作って、最初から学生に全部やらせてみればいいんですよ。


その方が学生のためにもなります。ITを本当にやりたい学生にとって、実際のシステム開発ができるというのは非常に良い学習になります。


学生ですから、プロジェクトの成否ではなくプロジェクトを行ったという課程を教員は評価できる。


うまくいけば、現システムを破棄し、学生プロジェクトによる物を導入する。


学生はそれを卒業研究として、卒論として発表できる。


参加した学生には相当実力がつきますよ。教員にとってもこの上ない良い教材であるはずです。


あとはそれができる環境を作ってくれれば、ヤル気のある学生たちが作り上げてくれると思います。


もはや、現システムはバグ修正は不可能であると考えられます。


選択肢は2択しかありません。
1、現システムを破棄し、新たなシステムをITヴェンダに発注する。
2、学生プロジェクトによる新システム構築。

コスト的には学生プロジェクトの方が安いです。部屋と開発環境を与えてやるだけですから、数十万〜百数十万で済みますよ。


企業に発注すれば、間違いなく数千万は取られます。特注システムですから、それでも安い方です。


ハードウェアはそのまま使えばいいんですから、あとはトップの方々の決断だけです。


談話室のリニューアルなんかどうでもいいから、そっちの教育系のシステムの方を何とかして欲しいですね。


ソフトへの投下はほとんど無になってしまいますが、学生プロジェクトが上手くいけば、ハードへの投下資本は無駄にはなりません。学校なんですから、学生にやらせてみてもいいと思うんですけどね。


学生研究室とかも欲しかったです。


落ち着いて何時間居ても文句言われない個別の学習室が欲しかったですね。


もちろん全員にとはいえないので、成績上位者とか何か明確な目的で使いたい学生に空き研究室を与えるべきです。


院生の人と指導教授は、事務に学生への研究室付与を打診しているようですが、何処の誰が責任取るのか?ということばかり気にして、交渉は難航しているようです。


中央棟(事務と教員研究室)にも空いている研究室はいくつかありますし、6号館5階のゼミ室もフルで使われることは無いわけですから、端っこの一室だけも学生に与えたら良いと思います。使ってない部屋を遊ばせておくのは勿体無いです。


とにかく、学生プロジェクトはやってみたら面白いと思うんだけどな・・・。


トップが理解してくれなきゃ、どうにもならないですよね。


こういう時は、あと1年か2年あったら・・・って考えてしまいます。